日本政府「韓国向け輸出管理の運用の見直し」の意味

徴用工問題を発端とする韓国政府の条約違反を含む一連の問題に対して、本日政府が対抗策を公表しました。 
内容は「大韓民国に関する輸出管理上のカテゴリーの見直し」「特定品目の包括輸出許可から個別輸出許可への切り替え」の2つ。 
単独ではなく2種類の措置がとられています。 
https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190701006/20190701006.html
この「韓国への対抗策」、韓国への対象品目の輸出規制と報道されていますが、実際のところは微妙に違います。 
 
規制や対抗措置というより、どちらかというと「嫌がらせ」に近いものです。 
今回の措置は、制裁や規制じゃなく、「特権の剥奪」です。 
それで十分効果的なのは、特権の剥奪レベルでさえ韓国政府とマスコミが顔面蒼白な事からも分ります。 
 
そもそもの話として「安全保障貿易管理」という概念があります。 
これは武器や軍事転用可能な貨物・技術が、危険な国やテロリスト等に渡ることを防ぐ為、先進国を中心とした国際的な枠組み(国際輸出管理レジーム)を作り、国際社会と協調して輸出等の管理を行う”という考え方です。 
日本では経産省の管轄。 
日本の安全保障貿易管理は、大雑把に言えば「リスト規制」と「キャッチオール規制」の2つから成り立ちます。 
 
リスト規制は“輸出したらヤバイものリスト”で、キャッチオール規制はリスト以外でヤバそうなものが対象です。 
規制対象品は日本政府に対して個別に輸出許可を取らなければなりません。 
ものによっては複数の項目に該当する場合もあります。 
リスト規制は全地域(全世界)が対象で、輸出するには個別許可が必要なので輸出手続がとても煩雑です。 
なので煩雑な手続を簡素化するために包括許可制度という仕組があります。 
契約案件ごとに個別申請→纏めて一括して許可申請出来るので、いちいち個別許可申請の必要がなくなり、手続が大幅に簡素化されます。 
韓国はこの制度の“一般包括許可”対象国になっています。 
 
今日発表の「特定品目の包括輸出許可から個別輸出許可への切り替え」で対象になっているのはフッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3品で「リスト規制」の対象品です。 
当然“一般包括許可”の対象…だったのですが、今回の切り替えで特権を剥奪して“個別許可申請に戻す”という措置が執られます。 
ポイントなのは輸出禁止じゃなくて、優遇措置の廃止。 
 
もう一つの「大韓民国に関する輸出管理上のカテゴリーの見直し」は“キャッチオール規制”に関連したものです。 
 
キャッチオール規制は、リスト規制品に該当しないけれども、大量破壊兵器や通常兵器の開発などに使用されるおそれがあるその他の物品の輸出や技術の提供に対して、輸出の個別許可の対象とする規制です。 
リスト規制は世界中の地域が対象ですが、キャッチオール規制は大きく分けて、規制対象の国・地域と、規制対象外のホワイト国に分けられます。 
ホワイト国は現在27カ国あり、韓国も含まれます。 
 
今回のカテゴリーの見直しによって、韓国はホワイト国から別カテゴリー(多分「非ホワイト国」)へ移動になると考えられます。 
キャッチオール規制のホワイト国認定は、輸出における個別許可が不要なので手続が大幅に簡略化されます。 
「大韓民国に関する輸出管理上のカテゴリーの見直し」は現時点では“ホワイト国から韓国を削除する為の政令改正について意見募集(パブコメ)手続き開始”ですが、最終的にはそのまま改正になるでしょう。 
 
「リスト規制3品目の個別輸出許可への切り替え」と「キャッチオール規制ホワイト国から韓国削除」はどちらも【輸出制限ではない】わけで、あくまで【特権の剥奪】と言うところがミソです。 
経済制裁無視の瀬取や北支援等は、日本にとって「安全保障上の重要な問題」ですので、韓国の優遇措置を取りやめると言うことです。 
制裁ではなく必然の条件変更、制裁ではなく必然の条件変更です、大事なので二度(ry
 
これまでの日本の対応と異なる点は、輸出は制限していないものの「輸出許可が出るかどうかは政府の胸先三寸」という、実にフレキシブルかつ海外から批判のしにくい対応をしたという点でしょう。 
今回の政府の対韓措置は、輸出規制でも輸出禁止でもないから諸外国から批難される要素がなく、政府は展開に応じて輸出許可をしてもいいし、輸出許可をしなくてもいい。 
なんなら個別許可の手続を遅延させてもいい。 
韓国側は輸入できるかどうか分らないが、輸出禁止じゃないので代替案を検討するのも難しい…… 
 
韓国に対するリスト規制とキャッチオール規制の特権剥奪は、相手に銃を突きつけているような状態ともいえます。
引き金は引いてないが、いつでも引ける。
国家間の外交を考えるとかなり優秀な措置だと思いますが、いつもはグダグダな政府がこんな上手い措置をやってるというのが、面白いところです。
 
今回の対韓措置、秀逸なのが「ルール上、他の国と同じ扱いにしただけ」という点。
制裁じゃない、優遇措置の剥奪。 
これに対して韓国が「制裁」行動に出たら、国際社会から叩かれるのは韓国の方なのです。
 
オマケ:魔改造儒教的思考の韓国に対して、「特権の剥奪」「格下げ」が彼らの精神にどんなダメージを与えるか……その面においても、今回の措置が非常に効果的と言えます。 

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