シリーズ:新型コロナウィルス -日本の現状と「勝利条件」-

現在、日本政府が行なっている新型コロナウイルス対策、経済政策は、憲法や法律の制約を考慮すれば、かなり頑張っている状況です。

(法律上、日本では欧米で見られるロックダウンや、中韓で見られる個人のプライバシーを無視した行動監視は実行できません。)

けれども、新型コロナウイルスの収束が長期化するのは最初から分かっていたことで、それを前提として考えた場合、絶対的に必要な情報が提示されていません。

それは【新型コロナウイルス対策の勝利条件】です。

何か策を練るときに、どのような状態になったら成功・作戦終了であるという勝利条件を設定することは非常に重要です。

「このような状況になったら勝ちである」ということが明示されているからこそ、国民はその勝利条件へ向けて自粛や感染拡大抑制への協力に理解を示します。

ただ単に「感染が拡大しているから外出を控えましょう」という自粛要請だけでは、せいぜい一か月前後で心身共に疲弊してしまいます。

長期間の自粛生活では、ゴールの光が見えないと心が折れてしまい、自暴自棄になって、ウィルスを拡散してしまう人さえ出現するでしょう。

緊急事態の終わりの設定こそが、国民の自粛にとって重要になります。

何も「何月何日まで」などという日付を設定しろという話ではありません。

どのような状態になったら自粛が緩和される、もしくは解除されるのか、という条件が分からなければ、どのような心づもりで長期間の自粛生活を過ごして良いのかわからず不安ばかりが大きくなってしまいます。

この点について、現在の政府が行なっている政策は残念ながら全く考慮できていません。

ですのでここで、現在考えられる勝利条件を説明したいと思います。

日本の現状と、今後についての模式図を下に掲載します。

コロナ籠城戦-模式図

大きく分けて、勝利条件は三つになります。

1つ目の勝利条件は既存薬の転用により、重症化する新型ウイルス感染者の治療が効果的に行えるようになる状態です。

この状態になれば、死者の数が抑えられます。

つまり、感染しても死ななくて済む可能性が高くなるということです。

感染自体がなくなるわけではなく、感染しても死ににくくなるという程度の状況改善ですので、全面的に新型コロナウイルス対策が完成したとは言い難いですが、少なくとも自粛要請を若干緩めることは可能になります。

またこの条件の特徴は、既に承認されている薬の転用ですから、治療法確立の目処が立つまでに比較的短い時間で到達できると考えられます。

現在話題の「アビガン」や、その他の多くの既存薬が世界中で新型コロナウイルスの治療に使えないか研究されています。

この辺りの成果が出てくるのは、今年の夏から秋にかけてでしょう。

2つ目の条件は、新型コロナウイルスに対する新薬の開発完了です。

既存薬の転用とは異なり、新型コロナウイルスに特化した治療薬ですので、より高い効果が期待できる考えられます。

治療薬が開発されれば、新型コロナウイルスはインフルエンザに近い状況になります。

つまり新型コロナウイルスに感染して発症しても、適切な治療さえ受けられれば死亡しなくて済む可能性がより高くなるということです。

この状況になれば自粛は解除可能だと考えます。

現在の開発状況等を考えると、時期的は来年の春から夏にかけてが有力ではないかと思われます。

3つ目の条件は、新型コロナウイルスのワクチン開発完了です。

ワクチンが完成すると感染しなくなる、もしくは感染しても症状が軽くなることが期待できます。

まさにインフルエンザの状況と同じです。

この状態が最終的な新型コロナウイルスとの戦いの【完全勝利】と言えます。

ワクチンの開発には非常に長い時間がかかります。

ワクチンの完成は早くても来年の後半と考えられます。

いずれにしても、確実にゴールが来ることは分かっている戦いです。

現在の日本の状況は、まさに籠城戦の状況です。

籠城戦とは援軍が来ることを前提として、人員の消耗を最小限に抑え、援軍が来るまで時間を稼ぐ策です。

上に挙げた3つの勝利条件がまさに援軍ということになります。

海外からは「日本の状況は(我々の)2ヶ月前の状況と同じだ。日本の対応が遅い」などと叩かれていますが、視点を変えれば、籠城戦状態で2ヶ月間も時間を稼いだということです。

籠城戦で援軍待ちの状況を考えると、この2ヶ月間時間を稼いだということは極めて大きな意味を持ちます。

これから我々が考えなければならないことは、最初の援軍が来るまでどれだけ被害を抑え込めるかということです。

最前線で頑張っている医療現場が崩壊してしまうと籠城戦は極めて厳しい状況に追い込まれます。

また小売や物流、インフラを始めとした生活の基盤となる部分が新型コロナウイルスの感染等により崩壊してしまうと、籠城戦を続けることが困難になります。

ですので、既存薬の転用による治療法が確立されるまでの間、我々はできるだけ感染被害を拡大させないように引きこもることが求められます。

自粛の緩和がGW明けなどということは現状の流れでありえません。

しかし、勝利条件が1つでも満たされれば、我々はそれほど心配すること無く自粛の手を緩めることができるようになります。

現在、日本の進めている感染者クラスターを抑え込む戦略は有効に働いています。

この状況を一分一秒でも長く維持できるように、我々も出来る限りの協力をすることが求められています。

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